タカの語り箱

余計なお世話と知りつつも、大学入試ど田舎の戦略、子育て、その他、日々思う事を書いています

田舎の人口を増やすカギは「教育の充実」にある

地方の人口を増やすために各自治体は知恵を絞り努力しています。
最近はリモートワークが可能な職種が増えたこともあり、都市での生活を見直し、田舎に移住を検討している人もいるようです。
若い世帯に「この町で子育てをしたい」そう思ってもらえるには、どうしたらよいのか...
人口60万人の小さい地方都市で生まれ育ち、離島で子育てをした経験を基に、保護者目線で考えてみました。


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人口増の街を真似れば良いのか?

人口減少中の日本でも、子育て世帯を呼び込み、人口を増やしている自治体があります。

例えば、「母(父)になるなら流山」というキャッチフレーズが有名な千葉県流山市。
市長さんはアメリカの都市開発に携わってきた経歴を持ち、“市政は経営である“という理念のもと、全国に先がけて市役所内にマーケティング課を設置しました。

流山市は様々な取り組みによって子育て世帯の呼び込みに成功し、10年連続で人口が増え続けています。

取り組みの例をあげると、保育園幼稚園まで子どもを送迎してもらえる「送迎保育ステーション」、学童保育の充実、都市開発、住まいの近くで働けるコワーキングスペース(民営)、企業誘致、等々。
流山おおたかの森駅前も整備されており、緑豊かな景観で若い子育て世帯の心を掴んでいます。

人口増の自治体は他にもあります。

福岡県福津市、この市は5年連続人口が増え続けています。

海と山に囲まれた風光明媚な景観を持つ一方で、中心地の福間駅東の土地区画整理事業の完了、イオンモール等の大型商業施設の開業で、都会的で生活に便利な街になりました。
海が近くカフェ等のおしゃれな場所が増え、若い世帯に人気があります。
また、公共下水道が整備され生活の質が向上したことも住みやすさに貢献しています。

しかし、先ほど述べた流山市は、東京の秋葉原まで電車で20分強という立地。
福津市も福間駅から福岡市博多駅まで20~30分ほどで着く。

都心へのアクセスの良さが最大の要因なのです。

とーっても羨ましいですが、離島にある我が自治体が全てを真似ることはできません。


わが町も頑張っている

わが町は、本土から約400キロ離れた離島に在りながら、更に3つの二次離島を抱えています。(※本土に直接的な移動手段がない離島を二次離島といいます)
空港から車で1時間45分。二つの町と市を越えて、やっとたどり着きます。

町の人口減少は深刻な問題で、昭和30年には26,371人いた人口が令和4年現在は8,602人。
30年後には、5000人を割り込むだろうと言われています。

我が町の自治体は、子育て世帯に対して様々な政策をとっています。
✓町独自の出産祝い金
✓子ども医療費助成制度(18歳まで医療費が殆どかからない)
✓ひとり親家庭医療費助成制度
✓「子育て支援パスポート」による地元商店のサービス
✓東京の民間企業によるコワーキングスペース運営に協力
✓Uターン者への資格所得補助
✓保育所、幼稚園、放課後児童クラブ(小学生)があり、待機児童ゼロ

この様に挙げてみると、なかなか充実しています。

その他にも、我が町にある県立高校の生徒への支援策として
✓町内の高校へ進学した場合の入学祝助成金
✓通学費の補助
✓英検等の各種資格検定料補助
✓部活動における遠征費や物品購入費の補助
✓修学旅行費用の補助
✓「地域みらい留学生」として全国から生徒を受け入れる(寮完備)
✓「地域みらい留学性」に対する扶助費交付
✓プログラミング教育への支援
✓町内の高校から、国公立または難関私立大学に合格した場合、給付型の奨学金を出す
等があります。これらも立派な子育て支援策です。

我が町にある高校の先生方は、夢や目標に向かって努力している生徒を懸命に支えご指導下さっています。

しかしこの高校は近年、入学者が激減しています。人口減少に加えて、中学まで勉強やスポーツを頑張ってきた子ども達が、より高いレベルの高校を目指し、町外に出てしまう傾向があるからです。

「町から高校が無くなってしまうと、高校がある他の市町村に人が流れてしまう。それにより一層過疎化が進んでしまう・・・」

そう考え、我が町の自治体は、多くの支援金を出し、町内の高校へ進学することのメリットを作ろうと努力しています。


少子化の時代だからこそ教育の充実で若い世帯を呼び込む

もしも自分が子育て世代だとして、「必ず田舎に引っ越さなければならい」と言われたら・・・

私なら
① 都市部とのアクセスが良い
② 自治体のサービスが充実しており働きやすい
③ 子育てになるべくお金がかからない
④ 病院がある
⑤ 子どもの教育体制が整っている

この様な条件をクリアした場所に住みたい。
特に私が重要視しているのは、⑤子どもに対する教育の充実度です。

現在は、殆どの自治体が子育てに関する様々な支援を実施しています。
また、昔と比べると鉄道や道路の整備、トンネルの開通等により、色々な都市にも行きやすくなっています。
となると、差別化をはかるなら「子どもの教育体制が整った町」これが重要ではないでしょうか。

少子高齢化が進む現在、子どもにかける教育費は増え続けています。
子ども一人あたりの年間教育費は、
1970年⇒24000円
2017年⇒371000円
この47年間で、なんと16倍になっています。少子化が進む一方で子どもにお金をかける教育熱心な家庭が増えているのです。

ゆったりとした田舎暮らしの中で良い教育を受けることができ、高校卒業後は、就職でも大学進学でも、自由に子どもが望む未来を切り開いていける。そんな子ども時代を過ごしてほしいと願う親も多いはず。

実際、私が田舎で子育てをして一番良かったと思うことは、受験戦争に巻き込まれなかったことです。

もしも、本土にある私の地元に住んでいたら、息子は回りに合わせて塾通いし、模試の偏差値に振り回される高校時代だったでしょう。

大学は、名前では無い。何を研究するかだ。それは分かっていてもなるべく名の知れた大学に行ってほしい・・・
子どもの将来を心配しない親はいません。デフレ不況が余計心配に拍車をかけ、名の通った偏差値の高い大学に対する信仰は続いています。

しかし、皆が皆、大学受験における競争が得意という訳ではありません。

子ども自身が、好きなことや叶えたいことに集中でき、しかも勉強にもしっかりと取り組める、そんな環境があるなら移住してみたいと思いませんか?

あらためて気づいた我が町の良さ

我が町には離島や小さい集落もありますが、私自身は中心地の割と大きな集落に住んでいます。

ここには、スーパー、ドラッグストアー、コンビニ、商店、飲食店、銀行、郵便局があり生活するにはとても便利です。しかも徒歩圏内。

保育所、幼稚園、小学校、中学校、高校、病院も徒歩で数分。

まさに【コンパクトシティ】です。本当に暮らしやすい!!

そして、教育もなかなか充実しています。

息子が通っていた幼稚園は、モンテッソーリ教育を行っていました。

私は20代の頃、シュタイナー教育を独学していたこともありオルタナティブ教育に興味深々でした。「こんな離島で有名なモンテッソーリ教育が行われているなんて」と感動したものです。(残念ながらこの幼稚園は令和4年に閉園しています)

他にも、小中学生が通う学習塾、英会話スクール、公文教室もあり、勉強を頑張り県内トップ高校に進学する生徒もいます。

相撲やスポーツ少年団等も盛んで、自治体主催の子供向け講座も多く開催されています。

あとは、難関大学を目指すレベルの高い高校生向けの塾や、子どもの興味に寄り添い自由で深い研究を後押しできる機関があれば、都会の教育熱心なご家庭を呼び込めるのではないか・・・

しかし、現状のままでもオンライン塾+参考書の組み合わせで難関大学対策は可能です。高校の先生方も熱心に教えてくださいます。

そう考えると、我が町の自治体はもっと教育における充実度をアピールしてもいいのになぁ・・・と、とても歯がゆい気持ちになりました。

「子育てのまち」「教育のまち」として、十分売り込めるのでは?と。

今回この記事を書いたことにより、あらためて我が町の良さを実感できたので、機会があれば自治体に対し意見を伝えてみようと思います。



ここまで読んで下さりありがとうございました。


参考文献

千葉県流山市 人口増加数が全国1位の市が取り組む「住み続ける価値」のあるまちづくりを紹介! 

https://digital.reserva.be/regional-revitalization-of-nagareyama-city/


第2期福津市まち・ひと・しごと創生総合戦略 福津市人口ビジョン 福津市 2020-12

鈴木菜月  家計の消費構造の変化 子どもの減少と相反する一人あたりの教育費の増加 参議院 経済のプリズム 2018-7